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2026年5月27日

日本人はなぜ英語が聞き取れないのか ― モーラで英語を読むと、子音が消える

日本人はなぜ英語が聞き取れないのか
― モーラで英語を読むと、子音が消える
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日本人はなぜ英語が聞き取れないのか

― モーラで英語を読むと、子音が消える

日本人が英語を聞き取れない大きな原因の一つは、「モーラ」で英語を読んでしまうことにあります。

日本語は、「か・き・く・け・こ」のように、子音の後ろに母音が続く言語です。

一方、英語は、子音が連続し、さらに音の脱落まで起こる言語です。

しかし日本人は、日本語のリズム感覚の影響で、英語にも無意識に母音を追加してしまいます。

その結果、ネイティヴの英語がまったく別の音に聞こえてしまうのです。

日本語は、モーラ単位で均等に音を並べる言語です。

例えば、

「ストライク」

という日本語は、

su-to-ra-i-ku

と、5つのモーラに分解されています。

しかし英語の strike は違います。

英語では、

/str/

が一気につながります。

英語は一音節です・

つまり、

「ス・ト・ラ」

ではありません。

ここに、日本人が英語を聞き取れない大きな原因があります。

さらに英語では、音の連結や脱落も頻繁に起こります。

例えば、

red paper

では、最初の /d/ が飲み込まれるように弱くなり、

Br.E /ˌred ˈpheɪphə/
Am.E /ˌred ˈpheɪphɚ/

ではなく、

Br.E /ˌredpheɪphə/
Am.E /ˌreddpheɪphɚ/

つまり、「レッド・ペーパー」ではなく、

「レッ・ペイパー」

に近くなるのです。

しかし日本人は、モーラ感覚で、

re-do-pe-i-pa-a  6拍

のように、すべての音を均等に読もうとしてしまいます。

その結果、ネイティヴ英語が「速すぎる」「音が消えた」と感じるのです。

pink coat でも同じです。

通常は、

Br.E /phɪŋk ˈkhəʊt/
Am.E /phɪŋk ˈhkoʊt/

ですが、

connected speech では、

Br.E /ˌphɪŋ kkhəʊt/
Am.E /ˌphɪŋkkhoʊʔ/

のように、/k/ や /t/ が弱化・脱落して聞こえることがあります。

つまり、

「ピンク・コート」

ではなく、

「ピン・コウッ」

のように聞こえるのです。

しかし日本語的に読むと、

pi-n-ku-

6

ko-o-to 6拍

となり、モーラが増えすぎてしまいます。

つまり日本人は、

「子音だけを連続して処理する」

ことに慣れていないのです。

英語は、子音中心の言語です。

一方、日本語は母音中心の言語です。

母音は比較的筋肉緊張が弱くても発音できます。

しかし英語では、強い子音を連続して発音するために、

・舌筋
・口輪筋
・口角周囲筋
・下顎周囲筋

などを、日本語以上に使います。

例えば、

1. 破裂音+鼻音

abnormal

Br.E /æˈnɔːməl/  (小さいbは飲み込まれるという意味)
Am.E /æ
ˈnɔɚməl/

dogma

Br.E /ˈdɒmə/
Am.E /ˈdɔ
mə/

などでは、破裂音の後に強い子音が続きます。

この時、英語話者は、舌や口周囲の筋肉を瞬間的に強く緊張させながら発音しています。

さらに英語では、子音だけではなく、「圧」も重要になります。

日本語は、比較的弱い呼気でも成立する言語です。

しかし英語では、強い呼気流量と声門下圧によって、子音を前方へ飛ばします。

そのため英語話者は、

・横隔膜
・腹横筋
・多裂筋
・骨盤底筋

などのコアマッスルも強く使っています。

2. 破裂音+破裂音

accept

Br.E /əˈsepʰt/
Am.E /ə
ˈsepʰt/

obtain

Br.E /əˈtʰeɪn/
Am.E /ə
ˈtʰeɪn/

Baghdad

Br.E /ˌbæˈdæd/
Am.E /ˌbæ
ˈdæd/

前の破裂音が飲み込まれ、後ろの破裂音へエネルギーが集中します。


3. 破裂音+摩擦音

Egyptian

Br.E /ɪˈdʒɪʃən/
Am.E /ɪˈdʒɪ
ʃən/

caption

Br.E /ˈkæʃən/
Am.E /ˈkæ
ʃən/

前の破裂音/p/が飲み込まれ、摩擦音へ滑らかにつながります。

4. -tely、tly系

distinctly

Br.E /dɪˈstɪŋtli/
Am.E /dɪˈstɪŋ
tli/

definitely

Br.E /ˈdefɪnəli/
Am.E /ˈdefɪnə
li/

slightly

Br.E /ˈslaɪli/
Am.E /ˈslaɪ
li/

oddly

Br.E /ˈɒli/
Am.E /ˈɑ
li/

deadly

Br.E /ˈdeli/
Am.E /ˈde
li/

repeatedly

Br.E /rɪˈpʰiːɪli/
Am.E /rɪˈpʰiːɾɪ
li/

allegedly

Br.E /əˈledʒɪli/
Am.E /əˈledʒɪ
li/

/d//t/が飲み込まれます。

しかし日本語では、子音単独を長く維持する習慣がないため、日本人は途中で母音を追加してしまいます。

その結果、

「知っている単語なのに聞き取れない」

という現象が起こるのです。

つまり、日本人が英語を聞き取れない原因は、単なる耳の問題ではありません。

日本語と英語では、

・リズム
・子音構造
・筋肉運動
・呼気
・声門下圧

そのものが違うのです。

英語は、「口」だけではなく、「体」で話す言語なのです。

締め

英語を聞き取れるようになるためには、単語暗記だけでは不十分です。

英語特有の、

・強勢拍リズム
・子音連結
・音の脱落
・声門下圧

を、身体感覚として習得する必要があります。

日本語のモーラ感覚のままでは、英語はいつまでも別の音に聞こえてしまうのです。

執筆: 竹内眞生子

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